2025.05.02

【ダンスコラム】ダンスにおける“グルーヴ”とはなにか(その2)※最終章

こんにちは!《DANCE COMPANY みやか組》の代表、振付師のみやかです😊
今回は前回の記事同様、大学院卒ダンサーの私なりの目線で、ダンスにおけるグルーヴを、日本一簡単に理解できるように解説してまいります。

この記事は2部構成になっており、前回の記事をお読みでない方は
さきにコチラ
を読んでから戻ってきてくださいね😉

 

早速ですが、前回の復習です。

グルーヴとは
・ダンスを親しむ人間なら一度は聞いたことがあるもの
・皆が漠然とした認識を持っている
・ネットで調べてもよく分からない
・色んなダンサーに聞いてもそれぞれの意見があるのでよく分からない

こんな話をしていました。

そして、筆者が15人ほどのプロフェッショナルの方々に聞き取り調査をし、その共通点を4つ掲載いたしました。本日はその4つをグループ分けしつつ、グルーヴの真相により詳しく迫っていこうと思います。

 

共通点その①【音楽用語である】

グルーヴとは本来、音楽用語なのです。ダンス界だけの言葉ではありませんし、例えば同じ舞台系でも演劇界ではあまり使わないようです。ここをまず間違えていると「ダンスなのにレコードの溝??」「グルーヴって名前のダンスのステップがあるの??」というように、こんがらがる原因になります。
グルーヴとは、元は黒人音楽からの言葉です。黒人達が持つ独特のノリを指します。

 

そもそも、グルーヴは英語(groove)ですよね?この単語は本来どういった意味なのでしょう。


groove
別表記:グルーヴ

「groove」とは・「groove」の意味
「groove」とは、英語で「溝」や「槽」といった意味を持つ単語である。また、音楽の分野では「リズム」や「感覚」を表す言葉としても使われる。さらに、一般的な会話では、何かに夢中になっている状態や、リズムに乗っている感覚を表現する際に用いられることがある。

(引用: 「グルーヴ」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書


分かりやすくまとめられていました。
そう、「溝(みぞ)」であり「槽(おけ・うけ)」なのです。槽とは空っぽの入れ物
グルーヴは、そういった何も無い「スキマ」を指す言葉なのですね。
これが音楽と、ダンスと、どのような関係があるのでしょう。

 

共通点その②黒人文化と関係が深いものである

既にその①でも挙げられていた、黒人音楽との関係。皆さんはこの黒人という言葉にどんなイメージが湧きますか。例えば今、テレビバラエティなどで、「黒人」と大きなテロップで書いた日には、フジテレビばりに炎上するでしょう。
しかし、本日はあえてこの言葉を使用させていただきます。なぜなら、ストリートダンスのカルチャーにとって、この黒人という言葉は切っても切り離せない関係といえます。
前回の記事で、Wikipediaから引用の文書がありました。

 

グルーヴ(groove)とは、アフリカ系アメリカ人の音楽に由来する音楽用語。

 

この1文。アフリカ系アメリカ人というのは、いわゆるアメリカに住む黒人のことです。彼らの祖先の多くは、無理やりアフリカからアメリカに奴隷として連れて来られた方が多いのです。アメリカでは奴隷制度が始まって以来、黒人に対するとんでもない差別や迫害がありました。1863年の奴隷解放宣以降もその差別は続き…そして現在も。

 

日本に住んでいると、あまり人種差別を目にすることが無く、実感が湧きませんよね。
でも実際、差別はおぞましいものです。同じバスにも乗れない。学校の教室も違う。教育が受けられない、家も好きなところに住めない。仕事がない。これだけではすみません。
白人警察官が何の罪もない黒人に暴力を振るい死に追いやった事件もありました。1度ではありませんし、比較的最近の事件です。このように、黒人の文化には、暗い歴史が存在します。

 

1950年後半~アメリカの黒人コミュニティで新しい音楽が生まれました。これが、《ソウルミュージック》です。
ソウルミュージックは、ゴスペルのような力強い歌唱や表現力、それに従来のR&Bのリズムを掛け合わせたような音楽です。そんな、黒人独特のパワーやリズムをもつソウルミュージックは、アメリカのみならず世界中で絶大な人気を獲得しました。

「ソウル(soul)」→日本語で「魂」「霊魂」「精神」「心」

 

ソウルミュージックはまさしく、酷い差別を受けた黒人達の「心の叫び」なんです。

 

ストリートダンスの原点と言われる《ソウルダンス》はご存知でしょうか。

このジャンルをただ、「ソウルミュージックで踊るダンスの総称」と思うのはもったいないかと思われます😊
ソウルダンスとは、日本で1番有名!と言っても過言では無い伝説のダンスチーム「BE BOP CREW」の方々が作ったものです。今は亡きよし坊さん、誠二さん達は、米軍基地近くのダンスホールで、黒人達が持つパワーに魅了された人間の1人です。日本全国のダンスの大御所と呼ばれる人たちも、みんなそうだと言えるでしょう。
その頃日本でソウルミュージックで踊るダンスが流行り、みんなそれぞれ踊っていましたが、今のようにダンススタジオがある訳でもなく、黒人達が踊るダンスを見よう見まねで踊っていました。    実際、仲間内で「お前上半身覚えろ、おれ下半身覚えるから」みたいな会話もよくあったようです。今はスマホでレッスン動画取り放題ですからね🤣全然違う。

だから正直、ぐちゃぐちゃだったんですよ。どれが正解か分からない。それをよし坊さんと誠二さんが「ちゃんとまとめるぞ!」とステップを明確にしたものが日本の「Be Bop Crew Soul」だと言われています。
この動きはアジアを中心に、やがて世界中に広がり、ひとつのジャンルとして確立しました。

ダンサーの中には、「ソウルダンスは日本だけ。世界的に見たらパーティグルーヴ(party groove)としか言わない」という方も居ます。

筆者はこの意見に反対派です。ただパーティでノることだけではない、差別の歴史を乗り越え、「俺たちはここに存在している」という黒人のパワーに魅了された人間が、リスペクトを込めて踊る。

これがソウルダンスなのです。

しかし、パーティグルーヴ派も間違えという訳ではありません。ダンスは自由なもので、それぞれ個人が持つ正解を追求するものです。

こういったダンスの特性が「グルーヴ」という言葉がもつ多面性にも繋がっているのかも知れません。

 

その③いわゆる「ノリ」のことで、間違いない

はい、そうです。グルーヴはノリのことです。

色々難しいこと言っていましたが答えはシンプルです。でも、よく考えてみると「ノリってなんだ???」ですよね。

皆さん、音楽にノったことはありますか?
ダンス未経験の方は感覚が分からないかもしれません。
では、自転車にノったことはありますか?
波にノったことはありますか?
気分がノった仕事が軌道にノった

この全てで共通することは何ですか???

 

共通点その④

前回のブログで、答えを言わず今の今まで引っ張ったその④🤣。
お待たせしました。答えを言います。
「グルーヴ」という言葉を語るにおいて、1番と言って良いほど重要なことです。
それは、、、





ズバリ

「気持ち良いこと」

え?
そんなこと?

そうお思いの方、甘い😑!
グルーヴはこの「気持ちが良い」が何よりも重要だと今回の調査で分かりました。

グルーヴは音楽用語で、黒人特有の弾むようなノリを指すことが多いです。でもこれは、初期段階のような話であり現在グルーヴはもっと広い意味で使われています。

グルーヴとは、人が「気持ちいいと感じるアクセント」を指す、というのが1番分かりやすい表現ですかね。

音楽にはリズムがあります。ブラックミュージックがウケたのは、そのリズムが結構不規則、なのにめっちゃいい感じ。テンション上がるわ~というのが、世界中に広まった原因です。
そういった「不規則なリズムの心地良さ」がグルーヴの正体といえます。

その①でこんな話をしました。


「溝(みぞ)」であり「槽(おけ・うけ)」なのです。槽とは空っぽの入れ物。
グルーヴは、そういった何も無い「スキマ」を指す言葉なのですね。
これが音楽と、ダンスと、どのような関係があるのでしょう。


この答えらしきものをあげるとすると、「音楽のアクセントのスキマをどう楽しむか」みたいな事です。

規則的というのは、言い方を変えると間が一定ということですよね。不規則の場合、間はバラバラ。スキマがバラバラなんです。なんとなく伝われば嬉しな。

 

記事をお読みの皆さん、ストレスが溜まった時に行く場所などはありますか??

筆者は水辺が好きですね。田舎育ちなので自然が大好きです。(虫は嫌い)

 

森のザワザワ
川のせせらぎ
眠れない夜は雨音が聴きたくなる

 

自然の音は全てランダムです。規則的でない。海の波音がずーーっと同じ音の繰り返しだったら、多分気持ち悪くてかなわないですよ。

F分の1ゆらぎという言葉がありますが(分からない方は検索!)これもあえていうなら、《自然のもつグルーヴ》です。

ここで1つの疑問が。では、「デジタルで一定の正確なリズムが刻まれているのはグルーヴとは言わないのか」という問題です。ダンスでもハウスミュージックなどは、ソウルミュージックとは違い音が一定がちですよね。

したがって答えは、半分🙆‍♀️まる。

一般的にはあまりグルーヴとは言いません。トランスミュージックなどを聞いて、「この曲グルーヴィーだわ〜」とかはあんまり無いみたい。

でも、現実的にはグルーヴが全く無い訳ではありません。
音楽家さんに言わせると「その音楽を出力する機械(スピーカーとか諸々)によって出る音楽に少しの変化(差)がでる。このスピーカーより、このスピーカーで聞いた音楽が好き。そう思うならそれはグルーヴだ、機械がもつグルーヴといえる」ということみたいです😂

このお話は少し上級者向けですね。

 

 

最後にダンスの話に戻っておきましょう。

「ダンスにおけるグルーヴとはなんですか?」

 

それは、筆者が思うに

「黒人音楽特有のリズム感」それを「自分の体で体現する」その結果「気持ちよくなる」ことだと言えるでしょう。

 

人の気持ち良いという感覚は千差万別です。だからこそ、ダンサーによってグルーヴの感覚も違いますし、それを言葉にするというのは大変困難な事です。《グルーヴとはなにか》という問に100点満点なんて出せるものではありません。逆に、それぞれの人間がこれがグルーヴだ!と思うことこそが、その人にとっての100点とも言えます。

 

日本一分かりやすく説明する!と息巻いてた筆者も、色々お話脱線してましたので、この「グルーヴ」という言葉はやはり簡単に語れるものではありませんでした。これこそがダンスの深み、面白さです。

ダンスを深くまで楽しむには、それなりに知識が必要だと筆者は考えます。そのお手伝いが少しでもできればと、これからもブログ更新してまいりますので是非ブックマークをお願いしますね❣️❣️

 

 


最後までご覧いただきありがとうございます💃

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